食のプロ・コラム

料理の美味しさは自分で創るもの

  • 2011年09月12日
  • 日本フードコーディネーター協会

日本フードコーディネーター協会 理事
TEA Communications 代表

武市 章



料理の美味しさは自分で創るもの
 


良く、何処のレストランが美味しいかと聞かれます。
皆さんのとっておきのレストランはどんな所ですか?
何を基準に選んでいますか?
美味しくてサービスや室内外の雰囲気が良く、しかもコスト
パフォーマンスの良い所と、それぞれに注文が多いことでしょう。
料理に関係していればいるほど、難しいですね。
 私は、料理は自分で美味しくするものだと思っています。
それは一体どう言うことか、どうすればよいのでしょうか。
行き着くところ、料理の美味しさは一緒に食べる人とその時の自分の
健康次第だと思っています。
平凡ですが、一緒に食べる相棒を、即ち、信頼できる相棒を大切に
育てていくことと平素の心身の健康を保つことが、結局は料理を
一番美味しくする鍵であると結論しています。

 
若いうちは、仕事や生活の中で、人や物との出会いは沢山あるものの、
その瞬間の大切さに気付かず過ごしてしまいます。
私もそうでした。
 しかし、人間関係だけではなく、あらゆる接触物との関係の中で、時間は
確実に過ぎていきます。
そして、見逃すのは「時間軸」の大切さです。
フランス料理が世界遺産に登録されたのは、単に料理だけのことでなく、
食文化と言われるサービス体制や、時には外交の武器にもなった会食の
役割、位置づけなども重要な要素になっていることは論を待ちませんが、
歴史、即ち、時間の厚みが最大のポイントであろうと思います。
歴史が信頼を作り上げたと言えましょう。
 勿論、人間は急速に好きになったり、美味しいレストランを新発見する
ことも大切だと思います。これなくしては進歩も革新もありません。
あそこの味はどうだろう、次は彼を誘ってあそこに行こう等、好奇心が
拡がりの基本であることに異論はありません。
 それゆえ、私もわずか2年のパリ滞在でしたが、その間にパリの三つ星の
レストランはもとより、二つ星の全て、一つ星の半数近くを食べ歩きましたし、
その後のFFCC (フランス料理文化センター)での6年間を通じてもフランス
各地のレストランを訪ね、多くのシェフとも親しくなりました。
それでも、料理の味は自分で美味しく出来る、自分しか美味しく出来ないと
思っています。
私は一人で出掛けて味見をすることはありません。
多くの方がそうであるように、誰かと連れだって行くのが、私の
食スタイルです。
勿論、仕事や個人的理由で人と会食する時、時には気が進まない相手と
会食を強いられることは当然にあります。
なかなか美味しく食べられません。
そんな時は、レストランの値踏みをし、客観的にレストランを観察したり
しています。


 本当に美味しく食べられる時は多くはありません。
時間は常に大切です。人生の中で限られた会食の時間、少しでも
美味しくしたいと願っています。
相手を選ぶのではなく、美味しくなる相手を大切に拡げて行く。
生活や仕事の中で、今を大切にし、一人ひとりと歴史を作って
いくことだと思います。
数は限られようとも信頼できる相棒を、時間を掛けて大切に育てる
気持ちを忘れないことが、明日へ繋がっていくものと思います。


素晴らしい相棒とご飯を食べる、これが料理を美味しくする最大の
ポイントと考えています。
そして、料理に関わる仕事をしていく人は、まずは誰よりも美味しく
ご飯を食べる体験を積み重ねていくことが、良い仕事につながるものと
思っています。
急がず、時間を無駄にせず、相棒と共に自分なりの歴史を重ね、
美味しい料理を自分で創って行きましょう。

 
武市 章 プロフィール


元 東京ガス(株) 取締役
元 (株)アーバンコミュニケーションズ 代表取締役社長
TEA Communications 代表

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