食のプロ・コラム

水谷建治のフードコーディネーター手記

  • 2009年12月14日
  • 日本フードコーディネーター協会

 
㈲テイスティーズ 代表取締役
日本フードコーディネーター協会
理 事   水谷建治
 

                                                                                                                       

  *フードコーディネーターになった経緯
 私が経営している飲食店の店舗設計をお願いしている設計会社からメニュー開発の依頼が来たのが最初でした。
そこの設計士さんは人気の建築デザイナーで、多くの繁盛店を作っており、自分の設計デザインした店舗への責任感は強い方でした。
その方から、私にメニュー開発を依頼してきたのには訳があったのです。
いくら設計士さんが素晴らしい店舗を作ったとしても、店舗コンセプトに合った美味しい料理を提供していなくては繁盛店にはならない。
 しかし、お店の経営者は自分ではなくクライアントであ
る。
クライアント(又は調理師)には美味しい料理を提供できる人もいれば、そうでない方もいます。
また、美味しい料理が作れても独自性に乏しかったり、器選び、盛付けなど、全てにおいて満足できるコーディネートを行えるクライアントはなかなかいません。
そこで私にその役割を果して欲しいと、依頼がきたのです。
 しかし、その頃はまだフードコーディネーターの資格もなかったですし、もちろんどこかで習ったわけでもないので、自社の飲食店の経験と感性だけでスタートしたのです。


 プロデュースした「四国味遍路 88屋 六本木店」
 プロデュースした
「四国味遍路 88屋 六本木店」


*私のフードコーディネーターの現場

フードコーディネーターにはさまざまな仕事があります。
日本フードコーディネーター協会の定める分野ではレストランプロデュース、食の商品開発、食のイベントメディアですが、私はその全てを手がけています。
それは飲食店のプロデュースや経営をしていると、どの分野の専門知識も必要になってくるからです。
その中でも私が主に仕事として依頼を受けているのが、レストランプロデユースです。
レストランプロデュースという仕事は、飲食店の新規出店や既存店のリニューアルのプランニングを行います。
店舗の立地調査から始まって、商圏分析や競合店調査、そしてコンセプトを決定し、メニュープランや店舗デザイン、食器の選定や接客教育などなど、やることは山のようにあります。
プランニングやプロデュースというと、一見、楽しそうな仕事のように思えますが、実際はそれどころではありません。
依頼先には必ずオーナーさんや調理師さんがいます。その方たちと上手にコミュニケーションを取りながら、メニューなどを考えていきます。
相手はもちろんその道のプロです。
専門料理の知識においてごまかしは利きません。
その分私にも充分な知識が必要になってきます。
ですから、話がどんな展開になっても分からない、知らないでは仕事にならないので事前にかなり勉強してから挑みます。
(基本何料理屋であろうと依頼は受けます。)
そして、相手に自分の持つ知識や人間性などを理解してもらった上で、プロデュースしていくのです。
場合によっては折り合いが付かず、調理師さんがその店を辞めてしまうことも無きにしもあらずです。
結局、最終的には、お店に来るお客様に満足を与え、そしてクライアントに喜んでもらえる結果を出さなければならないということが最大の使命なのです。そのためには豊富な知識と時流に合った感性を持ち、それを裏付ける経験が備わってなければ自信を持ってプロデュースしていけないのです。

 商品開発した
   「元祖 讃岐もんじゃ焼き」


*私の食に対する思い

食べるということは人間が生きていく上で必要不可欠なことです。
そして、それはそれだけでなく食材自体のいのちの恵みに感謝すること、また、さまざまな文化(芸術、しきたり、歳時、歴史、健康など)を知る大切な時間でもあり、そういった事のコミュニケーションの場でもあります。
最近では面白い、楽しい、美しい、簡単、便利というようなことにテーマを置きすぎ、本当の食べることの意味を忘れかけているような気がします。
そんな現状の中、フードコーディネーターの役割として季節、歳時、食の伝承、からだに良い物、そして命の恵に感謝というものを食をコーディネートする上で、同時に伝えていけたらいいと思っています。
そして、もうひとつ大切にしていることは、私たちが日本に生まれてきて、なんら不自由なく生活を営んでることの反対側で、今日生きるための食べ物すらなく死んでいく子供たちが世界中には大勢います。
私たちは食卓を綺麗に彩り、贅沢な時間を演出し、多くの人に満足を与える仕事をしています。
日本では家庭や外食での食事の際に、嫌いだから、欲しくないからと、たくさんの食べ物を残し捨てています。
それは食材全体の約40%を捨てているともいわれています。また、先進国の人が食べるための家畜の飼料に家畜の重量の約8~10倍の穀物を与えています。それだけで世界中の多くの人たちの命が救われるのです。
そんなことを思うと、私たちフードコーディネーターがやらなくてはならない事はさまざまです。
私はそういう今の現状を多くの人に知ってもらうこと、そして、少しでも多くの人が食べ物に感謝の心を持ち、食材を大切に扱い、無駄にせず、必要な人たちに分け与えることなど、小さなことから始めてもらう事ができればと思っています。

 SC内のデザートカフェの
 プロデュース



 メニュー写真の撮影

私がフードコーディネーターの仕事をしていて特に感じる事は、フードコーディネーターは食のスペシャリストでなければならないということです。
実際に仕事を依頼してくださる方は、私たちのことをそう思っている場合がほとんどです。
 しかし、今はフードコーディネーターの資格が出来てから期間が浅いということもあり、総合的にコーディネートできる人はほんの僅かしかいません。
私も今まで手探りをしながら、独学で勉強してきました。今、プロのフードコーディネーターとして仕事をされてる方はほとんどそうでないかと思います。
 しかし、ここ数年で認定校もでき、教科書も数多く出版され、学ぶ環境は整いつつあります。私はそういう環境にあるみなさんをとても羨ましく思います。
そんな環境の中、幅広く食の知識を高めていただきたいと思うわけですが、それとは別に大切なことがあります。
それは感性を磨くということです。
私は高校、大学と芸術系の学校に進学し、美術の基本を学んでいたので、フードコーディネーターの仕事を始めてからとても役に立ちました。
フードコーディネーターには食空間の演出や料理の盛り付け、器選びなど、感性を要求されることが多くあります。
そのためにも、日頃から美術館に足を運び絵画の鑑賞をしたり、茶道、華道、書道などを学ぶこともとても大切な事だと思います。
 それから現場経験を多く持つことも強みになります。
飲食店や食品会社、給食センター、デパ地下やスーパーなど食に関連する現場の経験を持っておくことで、将来必ず役に立つということは間違いありません。
そうやって幅広い知識と経験と感性を持つことで、みなさんもプロのフードコーディネーターとして活躍できるようになる事でしょう。


 自社店舗の
 「うまい魚と有機野菜 
       ぴかでり屋」高松

 

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