フードコーディネーターレポート

時代が要請するフードコーディネーターの活躍 3 豊﨑 啓輔さん

  • 2014年05月02日
  • 日本フードコーディネーター協会

 

豊﨑 啓輔さん

名古屋研修会写真

フードコーディネーター1級
レストランプロデュース)

  時代が要請するフードコーディネーターの活躍 3

               2013年12月1日 名古屋研修会

4.必要とされるフードコーディネーターになるために     

           
これから身につけてもらいたい力            
外食の中で活躍の場は沢山あるとお話しました。ただ当然外食の関係者に提案出来るだけの力を付けていかなければいけません。その為にはどういった努力が必要かを話して行きたいと思います。3点挙げました。            
                
①情報力                
最初は情報力です。これは仕事をしていく限り続ける必要が有ります。
まず継続的で長い時間軸を持つ必要があります。途切れ途切れでは駄目なんです。             
何かをやろうとする時に慌てて見に行くのもあまりいい事ではありません。
どうしても物真似になってしまいます。常に情報収集を行なう事で流行に振り回されない的確な判断が養われていきます。これで横軸が出来てきます。             
競合店調査として同じ業態を見ることは大切ですが、自分の関わっている業態以外を見ることも必要です。ひとつ高いランクの業態を見ると良いアイデアが出ることがあります。他の業界を見ることも良いでしょう。デパート、ショピングセンター、専門店 商業関係は参考になることが多いですね。色の使い方、照明技術、新しい素材等々 勉強になります。私の場合ラグジュアリークラスのホテル、高級旅館なども見に行きます。ホテルはパブリック部分であればいつでも見ることができます。レストランより滞在時間が長いですから空間にはより気を遣っていますね。            
色々な業態、業種を見ることで奥行きが出てきます。             
まったく違った進んだ産業を参考にする事も大切です。               
自動車産業、IT産業等を見ると分野は違いますが考え方,先進性等見習う事は沢山あると思います。たとえば厨房メーカーの人に良く言うのですが自動車を作るときには工作ロボットを沢山使います。外食でも洗い場のように価値を生まないところはロボットで作業する位の発想は必要だと思います。進んだ産業を見る事でこれからのあるべき姿が見えてきます。これは高さの部分です。            
これら縦、横、高さの立体的な情報を自分の中で構築していき、複眼的な目を持つ事が大切だと思います。そして古い情報を捨て、常に新しい情報に差し替えていく必要が有ります。『断、捨、離』という言葉が流行りましたが、これは情報も一緒です。            
古い情報を持っていると。判断が鈍くなる、時代遅れになる、間違う等の弊害が  出てきます。常に刷新してレベルを上げる不断の努力が必要になります。更にこの情報が外から見える様にする努力が必要です。この部屋を縦、横、高さの情報のブロックとしますと、今は中から見ていますがこの部屋を外から見れる様になると良いと思います。これは客観性を身に付けるという事です。中から見ているとどうしても自分の情報に溺れがちです。            
この力が高まればかなりの仕事ができるようになります。            
普通仕事をする時はこの力が中心です。仕事によってはこの能力を上げる事で十分な場合も有ります。この力が構築できれば2級は合格できると思います。      ただフードコーディネーターとして新たな提案をして行こうと思うと、これからは①だけでは物足りないと思います。
            
②感性の大切さ                
そのために必要なのが2番目の感性だと思います。            
感性といっても幅が広いのですが、まず身に付けるべきは、気付き、発見する感性だと思います。観察力、洞察力といってもいいかもしれません。            
我々は実はほとんどの人が同じような生活をしています。朝起きて、夜寝るまでそれ程違った環境にある訳ではありません。同じ様な物を見て,聞き生活しています。            
しかし成功する人はその中で何かに気付き、発見するのですね。そしてそれを形にして世に送り出すわけです。その違いは何かといえばまず気付き、発見する感性なのです。             
数年前にビジネス雑誌で見た分かりやすい例を上げてみます。            
皆さんダイソンという会社を知っていると思います。掃除機で有名ですね。
もう一つ5年ほど前に売り出した羽根のない扇風機も有名です。            
実はこの羽根のない扇風機は元になった物があるのです。何か分かりますか?よく商業施設とかのトイレに有るジェットタオルなんですね。ダイソンの社長が東南アジアにある工場を視察した時、トイレに入りこれを見かけたんです。とても感動したようですが、その時これを使って扇風機が作れないかと思ったのです。            
実はこのジェットタオルは90年代の中頃に三菱電機が開発したのです。出た当時当社にも売り込みに来て、中々良いと思って採用したので良く覚えています。皆さんも昔から見かけていると思います。日本人ならほとんどの人が知っているでしょう。            
でも日本人は羽根のない扇風機を作れなかったのですね。幾つかの日本のメーカーがジェットタオルを作っていますが扇風機まで考えれなかった訳です。家電王国でありながら知識、技術はあるが感性が足りなかったという事だと思います。            
気付く感性が有れば、新しい物を生み出していく事が出来るいい話だと思います。            
まずは気付き、発見する感性を身に付ける努力をして下さい。            
                
                
③オリジナリティ                
次にオリジナリティー独創性を挙げています。これは感性と重なる部分も多いのですが大切な要素です。創造性もこれに近い言葉だと思います。
独創性を生み出す一般的な方法は幾つか有ります。グループでやるなら皆で意見を出し合いアイデアを膨らませていくブレーンストーミングが有名です。
個人でやる場合、白紙に戻して考える、異質の物を組み合わせる、今あるものの切り口を変えてみるなどがよく言われる方法です。こういった方法論は、本を読めば勉強できると思います。大切な事はオリジナリティーを開発する為に日頃からそれを意識して訓練をしていく事だと思います。ソフトバンクの孫さんが 大学時代毎日一つ発明する事を自分に義務付けていた話が有ります。            
 持っている才能が違うとは思いますが、やはりそれだけの努力をして来ているのです。            
 よく考える習慣を身に付けて下さい。日々それを意識していく事で時間と共に一定レベルまでは実力を上げる事が出来ます。それから静かな時間を持つ事も大切です。            
  現代人は多くの情報の中で生活しています。情報収集は大切ですが一方で情報を遮断して静かに考える時間も必要です。テレビ、音楽、携帯、これらの情報をすべて止める事で考えを深めアイデアを生み出しやすい状況を作り出すことが出来ます。            
  これは脳波でいうと日常の脳はベータ波で活動していますが、リラックスした状態ではアルファー波になります。アイデアが出るのは良くこの状態だといわれます。            
  情報収集、学習をしたあと、リラックスして散歩する、街をのんびり歩いたりするのも良い方法だと思います。本当のインスピレーションを受け取るのは大変だと思いますが仕事のアイデアをひねり出すことはこれらの方法で結構出来るようになると思います。            
 ちなみに感性とオリジナリティーは最初の情報力に比例します。この部分のレベルが上がらないと感性、オリジナリティーも上がってきません。             情報が知識、知性になって行き、感性、オリジナリティーはそれが熟成され知恵になって行く感じです。短時間で話しましたが情報の体系を作るのに5年はかかると思います。            
 感性、オリジナリティーを磨くのに更に5年はかかります。             
 何でも1人前になるには10年位はかかるものです。長い目で見て取り組んでください。             
  でもこれが出来れば本当のプロになれるし1級も合格できると思います。
  

       
                

 

 

 




5.ま
とめ                
最後にまとめとして2点の話をします。            
                
 まずは皆さん 志を持って欲しいと思います。            
志が大切な事は皆さんも分かっていると思います。ただ若い時は今ひとつ実感が無いかもしれません。私もそうでした。でも我々ぐらいの年齢になると志が如何に大切かが良く分かります。それは周りで結果が出てくるからです。平凡そうに見えた人が志を持って努力し成功していく例は沢山有ります。この逆も有ります。才能があると思っていた人がぱっとしないで終わっていく。目先の事だけに囚われていた結果だと思います。志が未来を開きます。有能なフードコーディネーターになる為の志を立てて頑張ってください。            
                
もう一つはフードコーディネーター協会を愛してください。            
ちょっと仰々しい言葉かもしれませんが自分の所属する組織を愛することはとても大切です。愛社精神は古臭い言葉かもしれませんが、いつの時代にも必要な事です。            
自分の会社を愛している人がたくさんいる会社が強い会社で大きな会社になります。            
 アメリカが何も無い所からあれだけの国になったのは愛国心を持った人が沢山いたからです。私も1級に合格してから協会の方と交流会で初めてお話をさせてもらいました。            
 理事の方を始め、皆さん何らかの形で日本のフードを良い物にしていこうと思われています。            
 皆さんも是非フードコーディネーターになった以上協会の事も考えて活動して下さい。            
  それが協会を発展させ、我々の地位も向上させ、結果として仕事がやり易くなって行くと思います。            
                
 私の話は以上です。皆様に何か伝われば良いと思っています。            
 これを機縁としてフードコーディネーターとして活躍され名古屋のフードが素晴らしくそして楽しい物になると良いなと思っています。有難うございました。                   

 

プロフィール
豊崎 啓輔(トヨサキ ケイスケ) 愛知県出身
高級和食業態を主力とする㈱木曽路に勤務 ファミリーレストラン部門の店長を経験後、新規業態の開発、立ち上げに関わる。その後本社(名古屋)建築担当者として経験を積んだ後、首都圏への本格的な出店スタートに伴い、東京地区へ転勤。25年以上に渡り首都圏の和食高級業態、居酒屋等の出店、改装、メンテナンスを担当。楽しく夢のあるレストラン作りを心がけている。