フードコーディネーターレポート

時代が要請するフードコーディネーターの活躍 2 豊﨑 啓輔さん

  • 2014年04月24日
  • 日本フードコーディネーター協会

 

豊﨑 啓輔さん

名古屋研修会写真

フードコーディネーター1級
レストランプロデュース)

  時代が要請するフードコーディネーターの活躍 2

               2013年12月1日 名古屋研修会

3.時代が要請するフードコーディネーターの活躍  
             
では本日の本題のフードコーディネーターの活躍の場がどんなところにあるかお話をしたいと思います。私は外食の人間なので話が外食中心になります。            
               
①外食産業の現状                
まず外食産業の市場を見てみたいと思います。ちょっとネガティブな話になります。            
ご存知のように外食産業の売上は減り続けています。98年の29兆円をピークに最近は23兆円位に縮小してきています。ピーク時から2割程減っています。景気の低迷等外的要因はあるにせよ内部の問題も 多いと思います。ちなみに中食のマーケットは増えています。 4.3兆円→6.5兆円で2兆円以上増えており、この一部が外食のマーケットを奪ったのは明らかだと思います。その理由は90年代から価格競争に走り、レベルを落としてきた事が大きいですね。低価格が悪いとは思いませんが、それによりいろんな物を切り捨てる一方で、新しい価値の提案がなかった。業界内部の競争に明け暮れ時代の流れについていけなかった。 他の産業を見ればもっと頑張った訳です。            
例えば私の仕事である空間について見てみると、70年代ファミリーレストランが出てきた頃、その空間は豪華絢爛とは言いませんがとても快適な物でした。ところが90年代景気の低迷が始まり外食産業は低価格競争に突入します。その中で店造りをどんどんチープにしてきました。             
 一方で住宅産業を見るとこの時代にも企業努力を続け、中堅のサラリーマンが住む集合住宅は70年代から見れば高級マンションと言えるほど快適になりました。警備が完備され エントランスは家具が置かれ、照明、設えにも工夫がなされています。         
室内を見れば広さ、天井高 水回り、内装材等々大きな進化を遂げました。    またインテリア雑貨、家具の業界も進歩しました。90年代半ばお台場にフランフランが大型店を出店しましたが、この頃からインテリア雑貨が身近になりました。              
大塚家具、ニトリ、イケア等家具の販売も充実した事でファミレスと家庭の環境が 逆転して来ました。これに中食の充実で外食より中食の方が優位に立ち始めます。            
また家電品の充実も見逃せません。食器洗機、高機能な電子レンジ、大型テレビの普及等、これらが総合的に絡み合い、外食するより家で食事する方が快適な状況になって来た訳です。外食と同じような歴史を持つコンビニを見ても空間のレベルアップは明らかです。            
90年代のお店より照明、インテリア、什器類の充実は誰にも分かると思います。            
               
このように空間だけを見ても外食が他の業界より遅れを取っているのは、はっきりしています。内部の低価格競争に明け暮れて、時代に逆行するような事をやって来た 結果、他の産業から後れを取り、最近の言葉を使えば外食産業自体がガラパゴス化して来た訳です            
ただここに来て景気回復も進んできて 外食にも明るさが出てきました。       今後再度成長軌道に乗せて行く為に、もう一度QSCを向上させ新たな価値を提供する事が必要になってきます。            
               
②現在の外食産業は人材不足
                
 大手            
 ところがここで大きな問題が有ります。それは外食産業には人材が少ないのです。            
 実は現在の外食大手で状況を改善した会社のトップは外部の人材が多いですね。            
 マクドナルドは有名ですね、原田さんはアップルコンピューター出身です。    外食の中で今 最も上手くいっているのはスターバックスだと思いますが、ここの前社長岩田さんはボディーショップ出身です。(現在の社長は伊勢丹出身)女性の皆さんなら良くご存知イギリスの自然派のコスメなどの会社ですね。最近復調して来たファミリーレストランの御三家を見ますとセブン&アイのデニーズの社長の大久保さんは名古屋の駅前にも有りますが高級スーパー成城石井の社長でした。            
 すかいらーくの現在の社長谷さんは生え抜きですが資本をベインキャピタルという外資が持っていますので、会長始め取締役に外人さんが入っていてそれ以外も外部から来た方ばかりです。ファミレスの中で業績の一番伸びているロイヤルの社長は銀行出身です。            
 躍進著しいスシローも外部から人が入っています。外食で状況を改善して来ているところは社長、経営陣に他産業の人が参加し活性化させているのが現状です。            
  ここで中間層を見てみますとここも価格競争に明け暮れた為、人材が少ないのですね。            
 人を定期的に採用、教育出来なかった。そして優秀で心ある人材が流出して来ました。            
  いざ新しい事を始めようと思ってもそれを支える人が少ない訳です。          この問題は最近業界紙で先ほど話したロイヤルの社長がはっきりと指摘しています。            
  『成長軌道に乗ってきたがそれを支える人材が少なく成長と人材の育成をバランスを取りながら時間を掛けて進める必要があると』 ロイヤルは外食のパイオニアのような会社です。そのロイヤルでさえこういった状況ですから今の外食産業に人材が不足しているのが分かると思います。            
 ここでこの状況を改善する策を考えますと内部での人材育成が最も大切だと思いますがこれは時間が掛かりますのでそれだけでは追いつきません。これを解決するには外部の優秀なスタッフが参加して行くという形がいいと思います。そしてここにフードコーディネーター、コンサルタント等の専門家が活躍する場が出て来ると思います。            
               
 個人            
 今度は小さいほう個人のお店を見てみたいと思います。            
  皆さんもお気づきかと思いますが繁華街を歩いていますと、個人の似たり寄ったりのお店が出来ています。その多くはそれ程しないで潰れていきます。そのサイクルはより早くなっていると思います。まさにバブルのように一年もしないで潰れるお店が沢山有ります。            
 かつては個人がそこそこで商売を始めてやって行けた時代も有りました。         でもそれは20世紀までの話です。今は卓越した技術、あるいは外食の豊富な経験と知識を持った人間がやらないと生き残れない時代です。            
 では個人が成功するにはどうすればいいか? やはり外部の専門家と一緒に    お店造りを考えるのが良い方法だと思います。たとえば借り入れをしないで自己資金300万で開業しようとします。普通なら居抜きで不動産を引き継ぎ、看板を変え、メニューを変える位でしょう。300万しかないからとても専門家を雇えないと思うかもしれませんが、これは逆だと思うのです。このお金の100万をプロに払い残りの200万をどう使うか、一緒に考えて貰うほうが成功する確率は高いと思います。            
 お金が無い時こそプロに頼むべきだと思います。            
又個人が成功してお店を増やして行きます。この時にも3店,10店とお店を増やしていく為のルール、ノウハウがあります。現在は法令順守、人事、財務等より高度になって来ています。こういった部分まで個人経営の人が忙しい中で身に付けるのは大変です。            
  ここでもやはり外部の専門家に頼んで一緒に勉強しながら拡大していくのが最も良い方法だと思います。外食産業ももっと知識、知恵が大きな価値を生む事に気付かなければ行けないと思います。知識、知恵というのはそれ位価値の有る物だと思います。             
 他の産業をみても今はソフトの部分を大切にしています。             
               
③外部の力を必要としている外食産業                
  外食の状況を説明しましたがこのように人材が不足しています。したがってこれからは外部の人を上手に使っていく事を考える時代になって来ると思います。            
  外食だけでは今の状況は打破出来ず、色々な所で人を補強する必要が有り、フードコーディネーターが活躍できる可能性が増えてきます。            
               
④求められる専門職                
  その為には勉強して総合力を身に付ける一方で、誰にも負けない専門分野を持つ事が必要だと思います。まずは会社で一番、名古屋で一番を目指しては如何でしょうか。             
  これに関してはマーケティングのセンスが必要になってくると思います。     自分の持っている力、これからの時代の流れ、競争相手等々これらを分析して自分の活躍できる場所を見つける必要があると思います。            
  フードコーディネーターとして活躍していこうとするならまず最初に取り組むべき課題はこれだと思います。             
               
⑤今後活躍が期待される仕事                
  では具体的にこれから活躍できる場所を少し考えて見ますと大きいところではマーケティングの専門家、ブランディングの専門家が不足しています。      そして作業性の改善なども遅れている分野だと思います。            
 健康関係、高齢化対策などもまだまだ有望でしょう。            
 クリンリネス、サニタリー関係も補強する必要があります。            
 女性の皆さんだとスィーツ関係が興味があるかもしれません。            
 日本のスィーツは非常にレベレが高いです。フランスと比べても遜色ないという話も聞きます。            
  ただお菓子屋さんのスィーツはレベルが高いですがレストラン関係を見ればまだまだだと思います。高級なフレンチ、イタリアンはともかく外食全体のレベルはそこまで行っていませんので改善の余地があると思います。            
 時代は常に変化し、進化しています。よく観察すれば自分の活躍の場はいくつもあると思います。  

 

         


 *「時代が要請するフードコーディネーターの活躍 3」に続きます。

プロフィール
豊崎 啓輔(トヨサキ ケイスケ) 愛知県出身
高級和食業態を主力とする㈱木曽路に勤務 ファミリーレストラン部門の店長を経験後、新規業態の開発、立ち上げに関わる。その後本社(名古屋)建築担当者として経験を積んだ後、首都圏への本格的な出店スタートに伴い、東京地区へ転勤。25年以上に渡り首都圏の和食高級業態、居酒屋等の出店、改装、メンテナンスを担当。楽しく夢のあるレストラン作りを心がけている。