食のプロ・コラム

外国の日本食あれこれ

  • 2014年05月20日
  • 日本フードコーディネーター協会

(有)ヴァンセーヌサービス代表
日本フードコーディネーター協会
常任理事   酒井 一之


「外国の日本食あれこれ」

  
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

在世界各国で日本食がブーム。オバマ大統領が来日し大好物の寿司を銀座で食べ、「今まで食べた中でいちばん美味しかった」との感想を、日本の首相が代弁していたが・・。
現在世界各国に日本食レストランがどのくらい在るかざっと調べてみたら、約5万軒。と言う数字が出てきた。世界無形遺産に登録されたので5万軒??が多いのか、少ないのか?

 

 私は海外に出て日本食が恋しくなることがない。ヨーロッパを旅しようが、アフリカに行こうが、モンゴルの草原でも現地の食事に十分適応できるつもりだし、せっかく他所の国を旅行しているのだから。それを楽しまない手はないと思っているが、たまに同行者がいる場合や、現地の人に美味い日本食レストランが在るのでと、ご招待を受ける事がある。ご招待して下さる方は日本人ではなくその土地の人、外国人である。

 

 オーストラリア・シドニーで受けたご招待は、有名なレストランでガイドブックにも掲載されていると言う。
タクシーで乗り付けたレストランの入り口には、懐かしいディスプレーが並んでいるではないか。今では日本でも余り見られなくなっている料理サンプルである。フォークが宙に浮きスパゲッティが絡んでいるおなじみのサンプルの他に、伊勢エビ、ハンバーグ、ソバ、オムライス、のり巻き等である。一瞬不安がよぎったが招待される側であり、文句は言えない。こんにちはと店内に入ると返ってきた返事が英語。顏は日本人だと思ったら、サーヴィスの女性は中国人で店主兼シェフは韓国人だと言う。店内内装は全くの和風。シェフ曰く、日本には一度行った事がある。その時合羽橋でサンプルが余りにも素晴らしいので買ってきたと言う。
メニューは全て英語で書かれており、キムチ、のり巻き(ご飯、牛肉、大根、人参、ホーレン草、ゴマ入り韓国風のり巻き)も和食としてお勧め料理の一品。国籍の差別はしないが出てくる料理が誠にエスニック、味噌スープは挑戦する意欲が失せてしまった。
 

パリには寿司専門店が100軒以上在り、日本人が居ない店の目安としては、店頭に寿司のサンプルポスターが張ってある店がそれで、すぐわかる。のり巻きの種類が一番多く、にぎりの赤身はサーモントラウト,白身は多分ヒラメかオヒョウ。マグロもイカもウニも無い。たいていこんな店は中国人,韓国人と、まれにアフリカ人の板前がいて、安くて早い寿司を提供している。

 

アメリカではカルフォルニアンロールが有名だが、半分に切った海苔に薄くご飯が並べられ、カニカマ、ボイルした魚、サラダ、アヴォカドがのっていて、ぴりっと辛いメキシカンソースの上に更にお好み焼き風にマヨネーズが細く絞り出されているのに出会った。
人気があるらしく結構注文が多いようだ。これって寿司? と思うが,メニューにはSUSHIと書かれている。
日本人職人、板前が居る店はちゃんと酢飯だが、ほとんどの国のSUSHI店の寿司はただのご飯が海苔で巻かれ、先ず酢飯にはお目にかからない。
これらの店を支える強力な助っ人が寿司ロボットで、のり巻き型多いので握り寿司が少ないのではと思っている。

 

ブラジル・サンパウロ、日本のある洋酒会社が経営する大きな日本食レストラン。調理場を覗いたら、日本人板前が昔は居たが、今は居ないと言う。道理で盛り付けも,料理も和風ならずブラジリアンだと理解した。世界最大のサンパウロ日本人街は現在東洋人街と変貌しつつ在るが,デパートでもスーパーでも寿司のパックが並んでいる。のり巻き主体のどことなく昔の面影漂う太巻きのり巻きが主体。戦後渡った日本人移民の方が多く、4〜50年前の日本料理がお目にかかれる。正に無形遺産。

 

ポルトガルが発祥と言われる日本の「天ぷら」をリスボンの現地和食レストランで食べた時は、天ぷらのルーツを垣間見たような気がした。オリーブオイルで揚げたベタベタの天ぷらにレモンとピリットしたソース。鰯の塩焼きは旨かったがこれって、リスボンの名物料理です。料理人はポルトガル人で会話が成立しませんでした。

 

韓国では「和式レストラン」は一寸高級ですから、とご招待を受けたが、客は韓国人ばかり。日本人の客の姿は見えず、韓国料理が食べたいとご辞退申し上げた。

 

日本食が世界無形遺産に登録されても、人気ある和食だが、食は母国を離れると、その土地々で進化、変化を遂げ、その土地の気候風土に同化して行く。

世界遺産に登録されたからと言って、日本料理を広げ、輸出する試みよりも、日本に来て食べてもらう方が、来日観光客増加に繋がり、外貨獲得にもなると思うが、いかがでしょうか。

 

日本に渡来したポルトガルの揚げ物が天ぷらに、スポンジケーキ状の物がカステラに、ヨーロッパの衣付け豚肉料理がトンカツに、中国から来た麺料理がラーメンに、インドのカレーが進化して、どれもが和食、日本の洋食、国民食にと原産国を凌ぐに料理に進化を遂げたと思うのは日本人だからでしょうか?

 

日本人が海外で見た和食、寿司に驚く様に、インド人もびっくりの日本のカレー。将来海外旅行で、日本由来の料理が、どんな姿に変身、進化するのか楽しみですが。

 

 

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