食のプロ・コラム

冬は焼きたてのワッフルが美味しい

  • 2014年03月03日
  • 日本フードコーディネーター協会
フランス菓子、料理研究家
名誉フードコーディネーター
大森由紀子


「冬は焼きたてのワッフルが美味しい」




  冬になると焼きたてのワッフルが恋しいですね。ワッフル皿盛り
ワッフルは、まだお菓子がほとんど作られていなかった中世から19世紀まで作られていた、ウーブリという2枚の鉄板をはさんで焼いていたお菓子がオリジンだと言われています。中世には、お菓子を売るお店というのは存在せず、ウーブリは、ウーブリ売りが町を歩いて売っていました。

お菓子屋さんはフランス語で、パティスリーといいますが、パティスリーは当初、お惣菜屋さんだったのです。パティスリーの語原は、パート、つまり生地ということばから来ているので、生地を利用したお肉やチーズのパイを製造販売していた場所でした。そこがお菓子も売るようになったのです。ですから、フランスの伝統的なお菓子屋さんは、パテやサラダなどのお惣菜も販売しているわけです。

 

ワッフルの話にもどりますが、ワッフルと一口に言ってもいくつかの種類があるのをご存じですか? ワッフルが作られているのは、おもに北フランスです。北フランスは、ベルギーに隣接しているので、ベルギーの食文化の影響を多く受けています。そもそも、北フランスは、かつてはベルギー、オランダなどとともに、フランドル地方と呼ばれており、ワッフルはそのフランドル地方で発展していきました。

 

その一つは、ブリュッセル風と呼ばれるものです。卵、牛乳、砂糖、バターなどを混ぜ、イーストで発酵させてつくるものですが、牛乳の量が多く、クレープ生地のようにゆるい生地です。
ワッフルを焼いているところ
これを、私は、北フランスのリールの知り合いから譲り受けたアンティークのワッフル型で焼きます。美味しくやくコツは、この鉄の焼き型をしっかり温めてから焼くこと。その熱の勢いで、生地を流したときにチリチリといえば成功。軽くて香ばしいワッフルです。
その他、かつてフランドルだった地域には、フランドル風ワッフル、リエージュ風ワッフルがありますが、フランドル風は、細かい目のワッフル型で、ブリオッシュ生地に近い固さの生地を焼き、焼けたら、横半分にカットし、現地特有のヴェルジョワーズという赤砂糖とバターを混ぜた
クリームをはさんだものです。リエージュ風は、日本で一時一世を風靡した、パールシュガーが混ぜ込んであるしっかりした生地のワッフルです。

 

現地に赴くと、ワッフル型の種類やデザインの多さにびっくりします。かつてベルギーや北フランスでは、お嫁に行く娘のために、家紋などを彫り込んだワッフル型を持参させたそうです。今では素朴なおやつ菓子ですが、国を超えて伝えられていった伝統あるお菓子と知れば、その味わいも深いものになりますね。




 

 

 

 

 

 

 

 

大森由紀子プロフィール

フランス料理、菓子研究家

学習院大学仏文科卒。パリ国立銀行東京支店勤務後、渡仏。パリで料理と菓子を学ぶ。

フランス地方の食に魅せられ、20年以上、フランス地方の旅を続け、メディアや本を通して、その歴史、文化など背景を紹介。一方、フランスのパティシエたちとの交流も20年にわたる。

目黒区祐天寺にフランス菓子とお惣菜教室「エートル・パティス・キュイジーヌを主宰。

毎年、フランス食探訪のツアー、パリのサロン・ド・ショコラツアー、ルノートル製菓学校菓子研修ツアーを企画・同行。「魅惑のチョコレート」「パリスイーツ」「王のパティシエ」など、著書25冊以上。

HP:http://yukiko-omori-etre.com/

 

   


 

 

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