食のプロ・コラム

食の最前線レポート[後編]

  • 2012年04月23日
  • 日本フードコーディネーター協会

㈱アトリエじゅうろく 代表取締役社長


日本フードコーディネーター協会理事 沢 亜紀

 ㈱アトリエじゅうろく URL  www.a-16.co.jp/


 

 

食の最前線レポート[後編]
日本発!日伊共同「味覚教育」セミナー
潜入レポート!!

 
 

 

イタリア味覚教育センターによる「味覚教育教師養成講座」を体験!

 

 

いよいよ、イタリア全土の学校に延べ1万2000人を越える味覚教育教師を送り出してきた「味覚教育教師養成講座」のエッセンスを実体験出来る日本初!の体験です。
この授業は、アレッサンドロ・ヴェントゥーリとルィーザ・ペリスのお二人により実施されました。
まずは、お二人のプロフィールを紹介します。

 


 
アレッサンドロ・ヴェントゥーリ氏
 
味覚教育センター代表(イタリア教育省認定・味覚教育教師養成機関)。
トスカーナ州プラート出身、大学で文学および哲学を専攻。
スローフード協会創立時からのメンバーであり、1998年~2006年まで、スローフード協会食教育プロジェクト責任者を務める。
2007年よりイタリア味覚教育センター代表。

 

 

 

 
ルィーザ・ペリス氏
味覚教育センター 養成コース責任者。
カラブリア州ミレート出身、国立小学校教師。
1996年より学校教職員に向けた感覚味覚教育指導者養成を開始。
99年~2007年までスローフード協会教師、養成コース責任者。
現在、プラート市南地区の区長という政治家の顔も持つ。

 
ルイーザ氏により、まずは味覚教育の重要性が語れました。
世界の多くの人が飢えに苦しんでいる傍ら、幸福すぎる食生活から肥満、拒食症、過食症などに苦しむ人が増え、大きな矛盾が発生しています。
現代における食の大きな課題は、食そのものとじっくり関わることが減少していることです。
その土地の食べ物は、本来はその土地の文化を表し伝統料理として根付いていたのですが、食のグローバル化や合理化等により、その土地や国を語る食文化が失われつつあります。
もっと、じっくりゆっくり自分の土地の食べ物と向き合い、食を五感で楽しむことが大切だとルイーザ氏は熱弁されました。

次は、いよいよアレッサンドロ・ヴェントゥーリ氏による五感を使う味覚教育を体験しました。

①ビスコッティの試食その味覚の表現方法
②匂いの判定
 (7種類の匂いの容器から匂いを判定)

③嗜好テスト
 (マヨネーズに着色をして、色の影響による味覚の感じ方の違いを体験)

④味わいテスト
 (2種類のオレンジ色のジュースの味わいの違いを比較)

⑤チーズと蜂蜜のワークシート作成練習
 (ペコリーノとアカシアの蜂蜜をテイスティング)
 
         
 
 
アレッサンドロ・ヴェントゥーリ氏による授業から、五感の感覚で味わうことの大切さを学びました。
食べ物をテイスティングしながら目に見えない部分までも視覚・触覚・嗅覚・味覚の4つの感覚を研ぎ澄ましワークシートにその特徴を表現する練習を体験しました。
特に、この授業で我々現代人は、嗅覚が退化していることを知りました。本来、嗅覚は食べ物の安全を確認するために発達してきましたが、現代では、食べ物の安全性が高まりその必要性が少なくってきています。
嗅覚は、人間にとって最も本能に近い部分で情感と直結しているので、匂いから情景が浮かび、イメージがひろがります。
今後、我々はいろんな匂い嗅ぐことを習慣づけ、匂いの記憶を増やし五感を使って自由に食を楽しめる経験を増やしていきたいと思いました。

今回の、貴重な体験を通して食べ物の表層だけではなく、「味わう」ことを五感や心で感じると、食べ物は、生きる喜びの追求であり、人と繋がり色々な関係性を築いていることが解ります。
「お茶碗の中に地球を感じる」と言う言葉がとても理解できました。
 このプロジェクトの『フードコンシャスネス』の考え方を、子供の食教育に止まらず食のプロや大人に向けて提唱することのお手伝いを、食のプロであるフードコーディネーターが取り組んでいける教育内容や仕組みを積極的に考えていきたいと思います。
 
 では、今回のこのすばらしいプロジェクトを実現された学習院女子大学フードコンシャスネス実行委員会のお二人をご紹介します。
 








 実行委員長 学習院女子大学教授  品川 明氏
 
日本の子供達の「うま味」の認識が低いことを調査で知り、「うま味」に着目した食教育が必要だと実感されたのが、このプロジェクトの始まりだとお聞きしました。
それ以降、積極的に、あらゆる世代に必要な楽しく美味しい味覚・嗅覚教育などの感覚教育と食物教育を実践されています。
そして同じ心で食を「意識する教育」を実践しているイタリアの味覚教育センターの人々と出会いで、このプロジェクトを実現されました。
今回の品川教授による「うま味コンシャスラボラトリー」は日本文化を支える「うま味」を世界に発信するために開発されました。
ユニークな発想と食の感動を実感できるラボラトリーは、とても楽しく心に残る内容でした。

【プロフィール】
・学習院女子大学国際文化交流学部 日本文化学科 
  環境教育センター教授
・東京大学大学院修了 農学博士
・専門分野:水圏生物学・生物生態学・環境教育・
  食物味覚教育・コミュニケーション論


 


















 
 
運営委員長 学習院女子大学教授  江口 泰広氏
 
学習院女子大学での品川教授との出会い、数年前に本場イタリアの「味覚教育」視察の感動が、このプロジェクト誕生のきっかけであり、原動力となったと熱く語られたのは運営委員長を務められた江口教授です。
「食べ物は、生きる文化財」で、日々の中に文化財があり、食に関わる企業や人間は文化継承の社会的責任がある。
今回のプロジェクトは普通の食育とは違い、フードコンシャスネスという食に関する新たな認識を通じたEVC(エドケーショナル・バリュー・チェーン:教育価値連鎖)による教育変革や社会変革の第1歩でもあるそうです。
今後、日本における食ビジネスや食教育における新たな問題提起者として頼もしい存在である江口教授のご活躍が期待されます。

【プロフィール】
・学習院女子大学国際文化交流学部 
     国際コミュニケーション学科教授
・学習院大学経済学部卒業。
  ロータリー財団大学院奨学生としてUniv.of North Texas、
 
 Boston Univ.のMBAに留学。
・専門分野:経営学、マーケティング

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