食のプロ・コラム

氾濫する奇妙な接客用語

  • 2009年11月16日
  • 日本フードコーディネーター協会

女子栄養大学栄養学部フードマーケティング研究室 教授
日本フードコーディネーター協会
理事   高城孝助

 ●ある中華料理チェーン店での接客

ある日、ある中華料理チェーン店での従業員さんと客である私との会話です。

◆料理の注文時

「済みません。野菜炒め定食お願いします」
「ご注文、以上でよろしいでしょうか?」
「これだけじゃまずいですか?」
「いえ、そんなことありません」
「じゃ、野菜炒め定食お願いします」
「はいかしこまりました」


◆料理が運ばれてきました

「ご注文の品、以上でお揃いでしょうか?」
「えっ、私、これ以外に何か注文しましたっけ?」
「はー、こちらだけです」
「じゃ、これで揃っているんですよね?」
「はい、そうです」


◆精算時

1000円札を出した私に、
「1000円からでよろしいでしょうか?」
「1000円札じゃまずいですか?」
「いえ、そんなことはありません。1000円からお預かりします」


外食企業で25年間勤務し、今、大学で「フードサービス論」という授業も
担当している私には、この従業員さんの
「ご注文、以上でよろしいでしょうか?」
「ご注文の品、以上でお揃いですか?」
「1000円からでよろしいでしょうか?」
などの言葉は、黙って見過ごすことができないので、敢えてこちらから、
以上のような質問をするのですが、この店だけではなく、こうした誤った
奇妙な接客用語が、外食業界に蔓延しているのが実態です。


●あるホテルでの接客

ある一流のホテルのベテランサービスマンに次のような話を聞いたことがあります。
ある日、四人連れのお客様が見え、三人の方がコース料理を注文され、
一人の方がスープだけを注文されました。
その時、このサービスマンは、きっとこのお客様は何か事情があってスープだけを
注文されたのだと考えたそうです。
当然、
「スープだけでよろしいでしょうか?」
などと失礼なことは聞かずに、
いつも通り
「はい、かしこまりました」
と返事をしたそうです。


●正しい接客用語を徹底してほしい

お客様は、これで良しとして料理を注文するものです。
従って、
「以上でよろしいでしょうか?」
という言葉は不要どころか、場合によっては失礼になります。
確認するのであれば、
「○○でございますね。かしこまりました」
と言えば良いわけです。
「ご注文の品、以上でお揃いですか?」
という言葉は、まるでデタラメな言葉です。
お客が注文したものが揃っているかどうか確認して持ってくるのは店の従業員です。
注文した料理が揃っていなかったら、従業員が忘れたか、間違えたということです。
それをお客に確認を求めるのは、本末転倒です。
また、品物に「お揃い」と「お」を付けるのは、誤りですし、
揃えるという自分の行為に「お揃い」と「お」を付けるのも誤りです。
そして、
「1000円からでよろしいでしょうか?」
「1000円からお預かりします」
という言葉も意味不明です。
この従業員は「1000円を預かった」のではなく、
「1000円から預かった」というわけですが、
いったい1000円から何を預かったのでしょうか。
アメリカでは、フードサービスの従業員の教育プログラムに必ず、
「正しい接客用語」が含まれています。日本のフードサービス業界でも是非、
正しい接客用語を徹底してほしいと思う昨今です。

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