食のプロ・コラム

大学生の食生活調査から見る学生食堂の在り方(第2回目)

  • 2009年05月13日
  • 日本フードコーディネーター協会

  FCAJ 会長 小池鉄夫

東洋大学国際地域学部教授

協力 大学生活協同組合連合会
 
前回、大学生協の実態調査を紹介しましたが、2回目は東洋大学の学生に
行ったアンケート結果を紹介します。
 
.東洋大学国際観光学科「学生食堂利用アンケート」より
 
2.学食内レストランについて
 レストランの利用頻度は約80%以上の学生が
 利用しており、殆んど利用しない学生は全体の
 20%弱であった。
 利用金額・好きなメニュー・テイクアウト商品に
 ついては以下のような結果であった。
 ①利用金額
  200円台以下7.9%、300円台54.3%、400円台35%、
  500円台以上2.9%となっている。
  300円台の利用が最も多く、少しでも安くして
  欲しいという学生の声が多く聞こえてくる現状
  がある。
 ②好きなメニュー
  1位はオムライス、2位がうどん・そば、3位
  にから揚げ丼、以下カレーライス、たんたん麺
  と続いている。
  メニューについての要望は数多く寄せられ、
  最も多いのは、メニューのバリエーションを
  増やして欲しいというもので、その他大盛りや
  小盛など量の選択、また栄養面でバランスの
  良いメニューや塩分・カロリー表示など健康面
  に配慮したメニューへの要望となっている。
 ③テイクアウト商品の利用
  よく利用する、たまに利用するを合わせると、
  85%近くに上り、学生の食生活を垣間見る
  ことが出来る結果となっている。
 
 3.学生食堂に対する要望

 アンケートに寄せられた学生食堂への要望を利用目的、金額、メニュー、施設・環境面などに

 ついて学生の生の声を紹介する。

利用目的
 Aさん「私は2年生になってからよく学食を利用するようになりました。
     1年生のときは、まだ慣れず席を取るのが大変だった。
     コンビニで買ったお弁当より値段は多少高めだけれど、添加物は
     あまり入っていないと思うし栄養バランスもいいと思います」
 Bさん「値段も手頃なので毎日の食事を学食に頼ることが出来る。
     特に一人暮らしをしている学生にとっては、インスタント食品に
     頼りがちになり栄養のバランスを崩してしまう場合もあり、
     学食では豊富なメニューが提供されているのでバランスの良い食事が
     出来る」
 Cさん「学食は、キャンパスで過ごす学生にとって日々切り離すことの
     出来ない存在である。
     食事の場であることはもちろんだが、授業の合間のひと時を
     くつろぐ憩いの場であり、親しい友との語らいの場である」
金額面
 Aさん「学生向けのわりに値段が少し高い。
     メニューにもよるが、平均的に400円位かかる。
     定食なら500円位だ。頻繁に利用するからこそ一回にかかるお金は
     なるべく少なくしたい。
     質にこだわるとどうしてもコストがかかってしまうのは仕方ないが、
     学生向けであるからこそ、もっと値段を重視して欲しい」
 Bさん「一番改善して欲しいのはやはり値段である。
     もう、50円ずつでも安くしてもらえれば助かる。
     一回の食事代の重みが学生にとってはきつい」
メニューについて
 Aさん「メニューのバリエーションをもっと増やして欲しい。
     毎日利用しても飽きないような豊富なメニューであって欲しい」
 Bさん「なぜ学食を利用しないかというと量が多いということです。
     どのメニューも小さいものがあればいいなと思っています」
 Cさん「栄養面に配慮してカロリー、塩分などを表示して欲しい。
     カフェテリア形式を導入して欲しい。
     好きなものを好きなだけ選べるというのは魅力的である。
     この方法なら、お金のない学生も自分の持ち金に合った分だけ
     食事ができる。
     人件費が削減できるので食堂側もメリットがあると思う」
施設・環境面
 Aさん「私は2つの改善を求めたい。
     まず1つ目は、座席数の増加である。
     昼時になるとほとんど満席になるため、席がなく諦めることが
     多いからである」
 Bさん「学食を利用するのが学生である以上、学生の意見は非常に重要だと
     思います。
     食堂内にアンケートBOXを設置し、どんな料理が食べたいかなど
     利用者の声を聞くことが大切なのではないか」
 Cさん「場所の狭さからくる混雑で、短い時間内での利用が出来ない。
     値段は手頃なものが多いが、味のバラつきがある。
     人気メニューはすぐに売り切れてしまうなど問題が多い。
     サービスや対応において、食堂で働く方のあたたかい優しさを
     実感することも多くある。
     食堂側は学生の意見を参考にし、一方学生も食堂におけるマナーを
     守りつつ、自分たちで良い環境の食堂を作らなければならないと思う」
 Dさん「食堂内の空調の調節が悪いのか、暑過ぎたり寒過ぎたりで、
     消エネ対策上も問題である」
 Eさん「働いている人の衛生面での対応が気になる。
     基本的なことなので、充分過ぎるくらいの配慮が必要だと思う」
 
学生食堂アンケート結果(一部抜粋)
 
 
 
まとめ

 とにかく、安くてボリューム満点が第一、そんなイメージが強かった大学の学生食堂であるが、

 近年、コンビニやファーストフード店の増加、添加物が多く含まれているインスタント食品や

 加工食品の氾濫など学生を取り巻く食環境が大きく変化している。大学生協による学生生活の

 実態調査および本学国際観光学科の学生を対象にしたアンケート調査結果からも同様の実態が

 浮き彫りにされた。

 1970年を境に急速に進んできた「ファーストフード化」の現象は、生活を便利にした反面、

 学生の間でも生活習慣病予備軍の低年齢化をいっそう進め健康面での影響が心配されている。

  また、経済状況が悪化の一途をたどる昨今、親元からの仕送り額も減少傾向にあり学生の懐事

 情も厳しく、先ずは食費を節約する学生が多くその結果、簡便な食品で食事を済ませたり、

 欠食するなど深刻な問題となっている。

 大学の学生食堂に求められているものは大きく、楽しく美味しく食べられることは勿論である

 が、適正な価格で且つ栄養面でバランスの良いメニューを提供することもその一つと言える。

(表1・2)

 更に、日本の食文化に根ざすこと、自分でも調理したくなるようなメニューの開発など、学生が

 しっかりとした食生活を送ることが出来る学生食堂の存在こそがいま問われていると言えよう。

 
 
出典(1)「京都の大学生その食と健康」
蓮見澄「食の講座」日本生活協同組合連合会
 
多様なメニュー構成(表1)
 
 
メニュー編成例(1週間の参考例として・表2)
 
 

 

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